2023年のヒップホップ
さぁ、今年もあとわずか。
2023年はヒップホップ生誕50周年の記念すべき年でした。
50周年だからといって開設した当ブログですが、なにも成果を出せないまま2023年が終わってしまう…。
このブログを始めたのが比較的、年末の方なので筆者自身も違和感しかないですが2023年の締め括りとして今年のヒップホップ界隈の動きを一緒に見ていきましょう。
今回は「USのヒップホップ」と「日本のヒップホップ」で起きたブームや出来事を紹介していきます。
今回の記事で得られる知識
- 2023年のあれやこれや
- 注目のビーフや楽曲
- 筆者の老い
2023年の日本のヒップホップ
2023年の日本のヒップホップ界隈は激震という言葉が一番お似合いなのかなと思います。
呂布カルマのテレビ界進出に伴うラッパーのタレント化。
Ozrosaurus(オジロ)とKreva(クレバ)の楽曲「Player’s Player」が多くのヒップホップヘッズを歓喜の渦に巻き込んだ7月。
また、現在進行形のビーフである「舐達磨とBad Hopのビーフ」に加え、このビーフに関連した人たちの揉めごとが勃発した下半期。
楽曲で言えば前述のオジロとクレバの楽曲と舐達磨とBad Hop関連の曲を除いても非常に高クオリティ、オリジナリティ溢れる楽曲が多く豊作の1年となりました。
ラッパーのTV出演し過ぎ問題
ニホンモニター発表の2023年のブレイクタレントで8位になった呂布カルマ。
ついにそういうランキングに日本のラッパーが入るようになったのか。と何とも言えない感情になりましたが、個人的にはラッパーのTV出演は全然ありだと思います!
USではラッパーがTVに出演することは普通のことですし、日本のヒップホップ業界やTV業界ももっとラッパーの露出を後押しして欲しいと思っています。
もちろんこの意見に反対の方もおられると思います。
ヒップホップあるいはラップという存在が軽く見られてしまうと懸念されている方も多くいるのも確かです。
”ラッパーの品位、威厳みたいなものを担保できないのであればTV業界にラッパーが進出するのは反対”という考えが多いのかも知れません。
我もそう思うのだ!
品位と威厳大事!
日本におけるヒップホップやラッパーというイメージは一般認識というよりはステレオタイプに近く、いまだに「Yo!Yo!チェケラッチョ!!」という今の時代誰も言ってねぇよ!っていうレベルのステレオタイプを抱いている方々がいるのも事実です。
TV離れで崖っぷちのTV業界は若者にだいぶ浸透してきたであろうTVに出しても大丈夫なラッパー(問題を起こさなそう&ちゃんと喋れるラッパー)の力を借りてTVを盛り上げようとしています。
「TVを観てもらいたいTV業界」と「楽曲を多くの人に届けたいラッパー」からするとお互い願ったり叶ったりの存在なんだね。
Player’s Player
Ozrosaurusは2023年7月5日に楽曲「Player’s Player feat.Kreva」を発表。
オジロは先行配信の「Legend」と「2years」をそれぞれ4月と6月に発表し、8月に7thアルバム「Not Legend」をリリースしました。
このアルバムのハイライトはどうしたって「Player’s Player feat.Kreva」になってしまいます。
我々世代やヒップホップヘッズからするとオジロとクレバは相容れぬ存在として語り継がれてきました。そんな2人が夢のコラボ!
いわば日本のヒップホップ界のタブーみたいなものであり、有り得ない事態が起こりました。
というのも年齢も近く、活動を開始したタイミングも近いオジロのラッパーであるマッチョとクレバ。
- Macchoについて
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Maccho(マッチョ)は神奈川県横浜市出身の1978年4月8日生まれ。
1996年ころに活動を開始しました。
横浜のレジェンドグループDS455に15歳で加入、オジロとして1997年にミニアルバム「ライム・ダーツ」でデビュー。
2001年に日本のヒップホップ界のクラシック「Area Area」を含むアルバム「Rollin’045」をリリースし、アンダーグラウンドからの支持を得ます。
その後も間違いないラップを聴かせてくれています。
2023年までに7枚のアルバムをリリースしています。
現在はZornのレーベルAll My Homiesに所属しています。
- Krevaについて
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Kreva(クレバ)は東京都江戸川区出身(生まれは青森県)の1976年6月18日生まれ。
1995年ころに活動を開始しました。元々はDJ。
Kick The Can Crewを結成し、紅白歌合戦にも出演。
1999年~2001年までのイベント「B-Boy Park」のフリースタイルバトルで3連覇を果たし、殿堂入りします。
2004年からソロに転向。「音色」、「イッサイガッサイ」など数々の名曲を生み出してきました。
当時は”ヒップホップ”では無く”ヒップポップ”と揶揄されてしまうものの、ラップの切れ味はホンモノ!
2023年までに9枚のアルバムをリリースしています。
ラッパーとしてのスタイルは真逆。
マッチョはアンダーグラウンド志向。
クレバはオーバーグラウンド志向。
と言っても差支えないかと思います。
そんな彼らのビーフは2006年のオジロのアルバム「Rhyme&Blues」に収録の「Disrespect 4 U」を皮切りにビーフが勃発しました。
同年、クレバも「Disrespect 4 U」に反応し、「The Show」という楽曲でアンサーを返します。マッチョのディスに対してクレバはアンサーしたつもりはなかったようです。
2007年、オジロはアルバム「Hysterica」に収録の「1 for da 何?」でさらにアンサー。
同年、SEEDAの楽曲「Technic feat.Kreva」にてオジロにアンサーを返しますが、以降お互いディスと取れる楽曲はリリースされていません。
そんな過去を持つ彼らのコラボの後押しをした陰の立役者といわれているのがラッパーのZornでした。
Zornはマッチョとクレバとそれぞれコラボし、楽曲を発表しています。
一時期、Zornのライブで「マッチョとクレバがバッティングしてしまうのではないか」と話題になりました。
ちなみにクレバはZornのライブの際はマッチョとバッティングしないように運営側が厳戒態勢を敷いていたとインタビューで語っています。
何はともあれこのコラボは日本のヒップホップ界の歴史に残る超特大のビッグニュースだったのだ!
舐達磨 VS Bad Hop
現在の日本のヒップホップ界の最注目グループの頂点ともいうべきこの2つのグループ「舐達磨」と「Bad Hop」のビーフは2023年の下半期、最も注目を集めたトピックだったと思います。
ビーフの経緯
このビーフの元凶となった楽曲、2019年3月リリースのBad HopのYzerrの「Back Stage feat.Tiji Jojo」に対してラッパーのRykey(現:Rykey Daddy Dirty)は「この曲はパクり」とSNSで発信し、SNS上でビーフに発展しました。
2019年4月にRykeyは「You Can Get Again feat.Badsaikush」をリリースします。
話は飛んで2023年9月、ヒップホップの野外フェス「The Hope」のアフターパーティーでRykeyとYzerrが顔を合わせ小競り合いに発展。
正直、全然関係ないであろうラッパーの孫GongがYzerrを小突きケンカに発展。
そのケンカの仲裁に入った阿修羅MICがこの小競り合いに参入。
さらにYzerrの弟であるT-Pablowも参入し、カオスな様相を呈していきます。
後日、酒に酔っていたとは言え、手を出してしまったことを謝罪したいと孫Gongから申し入れられますが、Yzerrは謝罪を拒否します。
2023年10月、ヒップホップフェス「AH1」でも孫Gong側から再度謝罪を申し入れられますが、再度拒否。
孫Gongと阿修羅MICを帰らせるようにイベント関係者に通達するも会場内で阿修羅MICの姿を発見し、Yzerrの怒りが頂点に達します。
そしてこの時、バックステージでインタビューを受けていた舐達磨のDadsaikush(バダサイクッシュ)にYzerrが掴みかかります。
2019年のRykey/You Can Get Again feat.Badsaikushの伏線回収かな?
この後、Bad Hopはライブの予定でしたが、機材トラブルを理由にライブを中止してしまいます。
ライブ中止については後日謝罪しているのだ。
後日、YzerrはSNSのライブ配信でこれまでの経緯を説明しています。
ちなみにこのライブ配信で舐達磨のメンバーG-Plantsと過去に「飲んだことがあって普通にイイ人」とYzerrは言っています。
が、この後に舐達磨の総力を持ってBad Hopがディスられます。
沈黙からの強烈な一打
12月1日に舐達磨は「Feel Or Beef Bad Pop Is Dead」をリリースします。
曲のタイトルや内容は非常に辛辣であり、舐達磨側から明確に「コレはビーフだ!」と示しています。
「売名」、「パクり」、「AH1でのライブの中止」に対して言及しています。
パクりとサンプリングの違いをビートも含め、ラップで提示しています。
また、MVでは牛肉=ビーフを食べており、撮影されたのは前述のThe Hopeのアフターパーティーで使用された会場です。
今回はあえてリリックには触れませんので、まだチェックしていないという方は是非チェックしてもらえたらと思います。
12月15日には孫Gong率いるジャパニーズマゲニーズも舐達磨の「Feel Or Beef Bad Pop Is Dead」と同じビートを使用して「I Guess I’m Beefin’」を公開しました。
こちらも善し悪しは別としてかなり攻めまくりな内容になっています。
超直近で言えば、Rykeyが舐達磨のライブに乗り込んだり、SNSでYzerrが意味深な発言をしたりとこのビーフは2024年も二転三転、逆転するかも知れないので要チェックです。
個人的な感想になりますが、暴力は絶対にダメが大前提ですが、元々はYzerrとRykeyのビーフであり、関係の無い仲裁役や周りがやいのやいの言って話が膨らんでしまった感が強い気がします。
舐達磨のBadsaikushは単純にとばっちり感があるような…。
もちろん過去の因縁やYzerrの個人的な怒りによってインタビュー中に掴みかかられたので舐達磨側がディスするのは正当だと思います。
そしてそのディス曲も秀逸だったことで舐達磨の評価はすこぶる上がっていると思います。
スタイルの違いや感性、思惑はそれぞれのアーティストによって違うので少なからず摩擦が生まれるのはしょうがないことだと思います。
曲の上ではそれがプロレスだったとしても面白いものをみせてくれるのであれば個人的には大好物だし大歓迎なのだ。
ということで「2023年の日本のヒップホップ界」の主なトピックでした。
2023年のUSのヒップホップ
日本のヒップホップでだいぶ文字数がいってしまったのでUSのヒップホップはさらっといきたいと思います。
今年筆者がしつこく聴いていた曲
Wiz Khalifaの「Don’t Text Don’t Call feat.Snoop Dogg」が爽やかで夏によく聴いていた気がします。
単純にウィズ・カリファとスヌープが好き!あと、ウエッサイが好き。
DrakeとJ.Coleのコラボの「First Person Shooter」も最高でした。
もはや曲がイイというよりもDrakeとJ.Coleのコラボというだけでヨダレモノ!
そしてこちらもJ.Coleとのコラボ曲を出したLil Durkの「All My Life」もめっちゃ聴きましたね。
11月にリリースされたLil Durkの「Smurk Carter」は今絶賛ヘビロテ中!
次代のEminem?!と言わんばかりのJack Harlowの「Lovin On Me」も気分が上がる感じが好きでした。
Tik TokでJack Harlowの曲が流行ったのは去年あたりだったかな?
OffsetとCardi B夫妻の「Jealousy」もシンプルながら強烈なラップにやられました。
パッと思い浮かんだのはこんな感じですが、基本的に「下半期の曲が多いな」と思いました。で、痛感してしまったのが「筆者の老いが原因なのでは…」と思ってしまいました。(つまり、忘れているだけ?え、普通にヤダ。)
パパはこの間も「iPhoneが無い、無いっ!」ってずっと探していたのだ。無くしものが多いのだ。
基本的に毎回、我が見つけてあげるのだ。
ぼくもすぐお腹減っちゃうんだけど、ママに「くまごろう、さっきおやつたべたでしょう?」っていわれるよ。
まとめ
このブログを始めたのが今年ということもあり、ただただ慌ただしく時間が過ぎてしまいました。
記事内でほぼ触れていませんが、今年2023年は「ヒップホップ生誕50周年」です!
直近のことしか覚えていないというのがこの記事を書いていて判明したのはショックを隠せませんが、2023年のヒップホップは十分筆者を楽しませてくれました。
とくに今年は日本のヒップホップ界隈がざわついた一年だったと思います。
来年はどんなヒップホップと出会えるのか楽しみですね。
それでは良いお年を!